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いろんなことをつぶやくDJ番組的なブログ。文章書くことはまだ修行中の身です。


ネット海へ放ったいくつかのボトルメール( Messaga in a bottle )       カテゴリーは工事中です



「気にしすぎ症候群」を読んだ

読書 心理

 

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https://www.amazon.co.jp/気にしすぎ症候群-小学館新書-伊東-明/dp/4098252333

 

 何かと「気にしすぎる」ことは多いものです。私のような「気にしすぎる」気質に対してはHSP [ = Highly Sensitive Person ] という概念があって,最近では幾つもの文献で紹介され認知が広まりつつあります(この本でも第二章で言及されています)。そこまで行かなくても,たとえばYahoo! 知恵袋とか発言小町あたりでは「気にしすぎ」な質問で溢れ返っています。まあそれらの何分の一かはおそらく,そんな心配性を煽る「愉快犯」だと思われますが。

 すべての気にしすぎというのが「リスク回避」の本能から来ていることには違いないでしょう。そのリスクの質や量に対する認知の歪みが異常性を生み出しているにせよ,気にしすぎることが少なくとも「リスクを回避すること」に役立っているというわけです。とはいえしすぎだと言っている以上,それが過剰である——とは指摘されているわけです。

 一口で「しすぎ」と言っても,具体的な過剰にはさまざまななものが有りえると思うのです(以下は本書を参考にした私の考え)。

◯ 量的な過剰(必要以上に気にしすぎている)
   確率的に起こりにくいはずのことを心配して陥っている「気にしすぎ」
   極端すぎる状況(二分論的な)を心配して陥っている「気にしすぎ」

◯ 質的な過剰(確証バイアス)
   
他者の目(想像物)と自意識の間の乖離のせいで陥っている「気にしすぎ」

◯ 頻度的な過剰(たえず気にしている)
   気にすることばかりに「時間をとられすぎている」

◯ 不安や恐怖の過剰
   気にしすぎがストレスフルな情動と結びつきすぎている

 繰り返しますが,気にすることのそもそもの意義は「注意を喚起しリスクを回避すること」でしかない。なのにそれらの過剰のせいで,さまざまな副作用を伴っていたとすれば……そのことが問題だったりします。とりわけ深刻なのは,最後にあげた「不安や恐怖の過剰」。これが身体症状に結びついてしまったら,果てはノイローゼと呼ばれるしかないものになってしまうでしょう。ともあれ,役立たない「気にしすぎ」がどれほど不毛なものかをちゃんと考えてみる機会にしてみたいと思います。

【覚え書き】脳内で起こっている「せめぎ合い」

 ◯ 怖がっているのは「哺乳類の脳」(=大脳辺縁系
 ◯ 怖がらせているのは「人間の脳」(=大脳新皮質
 ◯ ストレス反応を余儀なくされるのは「爬虫類の脳」(=脳幹) 

 大脳辺縁系大脳新皮質が仲良くやっていけなくなって,脳幹に影響を及ぼしてしまうことで,身体症状が表れてしまうかも知れません。眩暈とか不眠とか自律神経失調とか。

 しかしながら,現代社会は「気にしすぎ」を助長するような方向に進むばかり。セールストークは容赦なく,我々の「気にしすぎ」のツボをこれまた過剰なまでに突いてくるものです。不安になった我々は,自分の感覚が客観的に正しいのかどうかの確証を得ようとして,数多くの情報を収集しようとします。ネットはそれにきわめて適したメディアです。自分の感じ方と同じものを情報の中に見つけて安心感を覚える一方,際限なく拾い集めた情報を今度は持て余し処理しきれなくなってきて,そのことで新たな不安が生み出されていきます。そもそも感じ方に「正解」なんて無いのだから,多数決で結論を出そうとすることは時に自分自身の感じ方を抑圧することでもあります。人間というのは面白いもので,自由すぎると逆に束縛されることに安心感を覚えてしまうものでもあるんですね。
 

 こうした「気にしすぎ」の本質を踏まえながら,その対処(やわらげたり,活用したりする方法)について,次のようなものが考えられると思います。

① 「何を」「どう」気にしすぎているかに気づく。
② 気にすること自体を必要以上に否定しない
③ 徐々に,時間と量を短縮していくようにする
④ 気にしすぎの思考を止める(他のことをする,マインドフルネス)
⑤ 気にしすぎることの質を向上させる(リスク回避にとって合理的に)

 書物のほうでは気にしすぎる人たちへの「十ヶ条」が,最終章において以下のように伊東先生によってまとめ上げられています。

 ① 気にすることを気にしない
 ② 気にしすぎは,減らすor有効活用が吉
 ③ 未来のことなんか,誰にもわからない
 ④ 気にしていることは,自分だけに大きく見える
 ⑤ 自分の思考をコントロールする
 ⑥ 気にしすぎの根っこにあるものを自覚する
 ⑦ 他人はあなたのことなんて大して気にしていない
 ⑧ 気にしすぎを悪用させない
 ⑨ 時代に負けない
 ⑩ 気にするエネルギーを良い方向に使う
気にしすぎ症候群(伊東明 小学館新書2015) P.179〜206

  この本を読んで私なりに得たところをまとめてみたのですが,だいたいの大枠をつかんでいただけたなら,ぜひとも伊東先生の「説明」からそれらのひとつひとつを理解して実感へと結びつけてみてください。とても分かりやすく述べられている一冊だと思います。

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